アロマと口内衛生と全身の健康について

口のエチケット

〜Nard冊子の第9回の特集記事より一部抜粋~

人の口腔には数百種以上の細菌が生息し、その中には虫歯や歯周病などの口内疾患に関係している細菌も多く存在します。口腔ケアの必要性は、口臭予防などのエチケット対策としての関心を集めていますが、口腔の衛星状態は、心臓病、糖尿病、肺炎などとも密接に関係しています。また虫歯や歯周病は、歯を失う主要な原因ですが、高齢者においては、残存する歯の数と生活の質(QOL)の間に強い相関関係が認められています。

単なるエチケットとしての口内衛星維持にとどまらず、全身の健康や重篤な疾患との関連性から、口腔ケアの重要性について解説します。

全身性疾患との関係

心臓疾患

歯周病や虫歯に感染している細菌が血液中に侵入し、心内膜に感染すると感染性心内膜炎を発症します。これが進行すると弁膜が損傷し、急性心不全を発症し、命に関わることもあります。同時に歯周病菌が血液を介して心臓の血管壁に感染することが原因で、動脈硬化が進行し、冠動脈の閉塞や狭窄から、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患を発症することもあります。さらには歯周病菌が血小板に侵入し、血栓の形成を促すことにより、上記の心筋梗塞、脳梗塞やバージャー病を引き起こしやすくします。

糖尿病

歯周病原因菌の中には、腫瘍壊死因子の分泌を促進し、それにより糖尿病が悪化し、糖尿病の進行がさらに歯周病を悪化させる負の連鎖が知られています。血糖値が高い状態が持続(放置)すると、唾液中にも過剰な糖が分泌され、これを養分として口内細菌が増殖します。糖尿病では、過剰な血糖を排泄するため尿量が増加、その結果、脱水、口渇によつて唾液による口腔内洗浄機能が低下して、虫歯や歯周病が悪化します。統計学的にも、糖尿病患者の約7割に重く進行した歯周病の存在が確認されています。

誤嚥性肺炎

高齢者や癌、糖尿病などの基礎疾患を有する、日和見感染症予備軍にとって、口腔内細菌を起因菌とする感染症は、最終結末である死に深く関わります。特に要介護高齢者や寝たきり状態では、自発的な口腔ケアが困難で、口内の衛星状態が著しく低下する場合があります。高齢者では、喉周辺の筋肉や嚥下中枢(延髄)の機能が衰え、食道に向かうべき飲食物が誤って気道に流入する誤嚥が生じやすくなります。この際、口腔内の病原性細菌が気管に感染すると肺炎を発症し、免疫力が低下している状態では、症状が重篤化して命に関わります。

その他

日頃から口腔ケアを行い、健全な咀嚼機能を維持することで、経口での栄養摂取が保たれることは、全身の健康、体力、免疫力、精神力、ひいては生活の質を高めることにつながります。近年では、咀嚼機能と認知症の関連性も指摘されています。

精油で口内ケア

以下に紹介する精油はいずれもが、殺菌作用、鎮痛作用などに優れた成分を含有しています。

クローブ

古くから民間療法として、歯痛時に丁子(クローブ)の実を噛むことが行われています。クローブの精油には、強力な鎮痛・神経麻痺作用と抗菌作用を併せ持つ、フェノール類のオイゲノールが平均75〜90%も含まれています。
フェノール類は一般に刺激が強く、使用には注意が必要ですが、オイゲノールには皮膚・粘膜に対する危険性が低く、歯科治療において原液を直接塗布する場合もあります。

ティートゥリー

主成分のテルピネン-4-オル(35〜45%含有)には鎮痛、抗菌作用に加えて、副交感神経強壮作用があるとされ、副交感神経を介した唾液分泌亢進が期待出来ます。モノテルペン炭化水素類のα及びγ-テルピネンには、静脈強壮作用や鬱滞除去作用、抗炎症作用などがあるとされていますので、腫れた歯肉を引き締めて、健康な歯茎を維持することが期待されます。
またティートゥリー精油全体に、優れた抗菌作用、抗ウィルス作用が確認されていて、広範囲の感染症に効果が期待出来ます。

ペパーミント

主成分の1-メントール(30〜50%含有)は、比較的身近な物質で、鎮痛作用に加えて血管収縮作用を示し、広く口内衛生用品に配合されています。
また鎮痛作用、抗炎症作用、抗カタル作用が期待できる1.8-シネオールも含有しています。

ユーカリレモン

テルペン系アルデヒドのシトロネラールを70〜85%含有する。テルペン系アルデヒド類には、抗炎症作用や鎮痛作用に優れたものが多く、特にシトロネラールには局所鎮痛作用が認められるので、歯痛への効果が期待できる。

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